第15章 地獄と天国
「あぁ?…?!」
「んだよ、ハジメかよ…」
「行こうぜ…」
俺がおっさんたちを睨むと、おっさんたちは火が消えるように去って行った
それはあいつらが去ったことを確認してから、さっきより小さくうずくまっているそいつに話しかけた
「おい、大丈夫か?」
「う…うん」
「お前ココ初めてだろ?名前は?」
「…る」
「あぁ?はっきりしろよ!!」
「…!!…と、トオル」
と、小さい声でつぶやいたそいつ…えっ?
「お前女じゃねえのか!?」
「なっ?!俺は男だよ!!ちゃんとチンチンついてるもん!!」
「んなもん知るか!!紛らわしい見た目しやがって!!」
「なんだよ!!君こそ見た目怖いんだよ!!」
あいつとは、知り合った時から言い争う関係だった
初対面の会話って感じじゃねえのは自分でもわかったけど、そのおかげでこいつとはすぐに打ち解けた
さっきまで怯えていたとは思えないくらいこいつは心を開くのが早かった
「…んで君の名前聞いてない…」
「俺か…ハジメ。岩泉一だ」
「はじめ…じゃあハジメちゃんだね!!」
「はぁ!?女みたいなあだ名つけんじゃねえ!!」
「いいじゃんハジメちゃん顔怖いんだから名前くらい可愛く…」
「いらねえわ!!…ったく」
「…俺の名前、及川徹っていうの…よろしくね、ハジメちゃん」
と、これからどんな生活が待ってるとも知らずにこいつは無邪気に笑って俺に握手を求めてきた
・・・そいやあの時が初めてだったな
誰かと握手したの・・・
「…あぁ、…トオル」