第13章 白鳥沢と青の野望
車の中は相変わらずの沈黙だった
音楽はかかってないから、及川さんの時よりこの沈黙が辛かった
『…。あっ…あの、岩泉さん…』
「ん~?」
『なっ…なんであんなとこにいたんですか?』
「あぁ~、言ってなかったな。俺ロイヤルサファイアの運転手してんだよ。あ、あと京谷もな」
『運転手?』
「デリヘルって知ってるだろ?うちの店も4~8階までの女はデリヘル可になってんだよ。まぁお前は10階だから知らねえのも無理ないけどな。俺たちはそれの送り迎えしてんだ。んでさっきのはそれの送りの帰りだったんだよ。」
『そうなんですか…』
「…お前は、白鳥沢の奴らのとこだろ?」
『…お察しの通りです』
「…どこまで聞いた?」
・・・どこまで聞いた
それはつまり、青城紫乃さんのことだというのはすぐ分かった
あたしは、牛島さんから聞いた話を全て岩泉さんに話した
紫乃さんの事、血縁や結婚のこと、それに・・・及川さんがあたしを・・・殺そうとしていることも
「…そうか、全部じゃねえのか…」
『紫乃さんが、どうやって死んだかは…知らないです……。』
・・・岩泉さんは知ってますよね、と言いたかったけど言えなかった。だって仮にも紫乃さんは岩泉さんたちの育ての親で・・・目の前で死んだって
『・・・あの、』
「この後、お前暇か?」
『えっ、あっ…はい』
「…飯、行くぞ。」
『…はい?』