第13章 白鳥沢と青の野望
いつの間にか、あたしの家の前にたどり着いていた
岩泉さんは一応心配して玄関までついてきてくれた
・・・よかった、あの人達不法侵入はしてないみたい
「じゃあ、1時間後にまた迎えに来るからな。準備しておけよ」
『…はい』
岩泉さん曰く、今日は月に1度のラーメンの日らしい
毎月給料日前に岩泉さんが一番好きなラーメン屋さんに行って気持ちをリセットするらしい
値段は安いからどんだけ食べても大丈夫って自分で言っていた
「…安心しろ、ラーメンの日は1人だって及川に行ってるからお前といることはバレねえよ」
岩泉さんは玄関の前に立つあたしの頭をポンポン撫でてくれた
それをされると、確かに安心はするけど・・・
まだ不安は残っていた
「…飯の後で、紫乃さんのこと詳しく教えてやる。あと、及川のこともな」
岩泉さんはさらに付け足してくれた
その言葉であたしの心は少し軽くなった
聞きたいけど聞いてはいけないと思ってたから
「…じゃあ後でな」
『はい…待ってます。岩泉さん、あたし結構食べますけど大丈夫ですか?』
「あぁ、あのラーメン屋はとにかく安いからな」
と、ニッと笑ってくれた
その笑顔は、少なからずあたしを慰めてくれた
「…夜琉」
『はい…?』
岩泉さんは車に乗る前に、向かい合っているあたしのおでこに自身のおでこをくっつけてきた
あたしがきょとんとしていると、岩泉さんは小さくつぶやいた
「…ホントに、生きててくれて…よかった…」
『…岩泉さん?』
彼の名を呼んだら、すぐに岩泉さんは離れてしまい車に乗って行ってしまった
その一連が早すぎてあたしは思わず吹き出した
家に入ると、アイがまたニャーと鳴く
でも今あたしは、アイを愛でている余裕はなかった
あたしの数少ない洋服をどうしようか・・・
でも、少し考えて思った
今からのご飯は、ただ一緒に食べるだけじゃない
青城の人たちのことを知るものでもあるんだと・・・
そう思ったら、あたしの服装はすぐに決まった