第13章 白鳥沢と青の野望
あたしは、瀬見さんに連れられてさっきよりは狭いけど大きな部屋にいた
瀬見さんは無言だったけど、あたしのそばにいた
しばらくすると、牛島さんが入ってきた
白布さんと大平さんも一緒だ。あっ、白布さんの腕には包帯が巻かれていた
「すまなかったな、ケガはしていないか?」
『いや、あたしは全然…あの、白布さんは…』
「俺は大丈夫だ」
『そう…ですか』
白布さんが最初と同じように冷たい感じだったから大丈夫だと思った
でも・・・
「夜琉、さっき犯人を見たか?」
『えっ…いや…』
「…あれは、青城の者だ」
牛島さんはまた淡々と話し始めた
青城の・・・やっぱり・・・あれは国見さん?
「…さっきの話の続きだが、紫乃さんは確かに保母をしていた。それも、身寄りのない浮浪者の子供を集めた施設を自身で開設しそこで子供を育てていたんだ」
『・・・。』
「そして、お前の雇い主である及川徹も彼女に育てられた子供の一人だ」
牛島さんの話によると、及川さんや一部の青城の人達は紫乃さんに育てられていたらしい
そして、彼女の死の瞬間を彼らは目撃したらしい
「…奴らは、この白鳥沢に恨みを持っている。紫乃さんが死んだのは白鳥沢のせいだと・・・。だから奴らはこの白鳥沢をつぶすために動いていたんだ。そして、及川はお前を見つけたんだ」
『な…なんであたしを…?』
「…経緯は知らないが、奴らもお前が紫乃さんの実の娘と知っていた。だから、正当な継承者であるお前が死ねば白鳥沢は最後の砦を失う。失った瞬間を叩けば白鳥沢は崩れると思ったんだろう。」
『えっ…つまり…』
「・・・お前は、俺達へ復讐するために及川に使われていた…道具だ」