第13章 白鳥沢と青の野望
「若ッ!!」
「…捕らえろ!!」
牛島さんが大声で叫んだ
すると、屋敷中から大きな音が響いて、人が動いているのが分かった
あたしは大きな音のせいで目をつぶっていたから様子が分からない
少ししてから目を開けると、あたしは白布さんに抱きしめられてたけど・・・
『し…白布さん!腕が…!!』
「大丈夫だ…奥に入ってろ!!」
目を開けた瞬間に目に入ってきたのは赤く染まっている肩口を手で押さえている白布さんだった
奥に行けと言われたけど、しびれた足と混乱する頭ではそれができなかった
ふと、あたしの視線は外に向かった
『…えっ』
視線の先は、屋敷の塀の上
庭に植えてある大きな木の陰でよくは見えなかったけど・・・誰かいた
・・・あれは
「おい、何してるんだ!!」
『あっ…』
と、今度は白布さんじゃなくて瀬見さんに腕を引かれ奥の部屋に連れていかれた
白布さんは、ケガをしていても牛島さんのそばにいた
あたしは、そのまま大部屋を出された
さっきの人影・・・
はっきりとは分からなかったけど・・・
あれは・・・国見さんだったような・・・