第13章 白鳥沢と青の野望
大平さんに着いて行ってしばらく歩くとようやく一番奥の大きな部屋にたどり着いた
大平さんは大部屋の襖の前に座って頭を下げた
「失礼いたします。若、夜琉さんをお連れしました」
「通せ」
中からあの人の声がした
その声を聞いたら、大平さんは襖を開けた
「夜琉さん、どうぞ」
扉の前から退いてあたしを部屋の中へ誘導した
あたしは、大平さんに頭を下げて大部屋の中へ入った
「よく来た、夜琉」
中には、あの人・・・牛島さんがいた。
その傍らには、白布さんがいた
『…お邪魔します』
「…こちらへ」
ちょうど牛島さんから少し離れた正面に毛先の黒いお兄さんが座布団とお茶菓子を置いてくれた
『あっ、ありがとうございます…えっと、』
「瀬見です。」
『…セミ?』
「瀬戸の〈瀬〉に〈見〉るで瀬見です!!」
『あっ、すみません…』
そんなに怒るんだ・・・
というか、この人は和服なのになんか変・・・着方がおかしいのか?
「瀬見、下がれ。」
「・・・。」
瀬見さんは牛島さんに弾かれ頭を下げて部屋から出て行った
なんか瀬見さんに当たり強いな・・・
「夜琉、先日につづきこのように急に呼び立てて申し訳ない。並びに、俺の部下が若き身体に傷を負わせたこともあいつに成り代わり詫びよう」
牛島さんは膝に手をついてあたしに向かって頭を下げた
傍らにいる白布さんも頭を下げているけど、牛島さんより先に頭をあげて、なぜかあたしを睨む
・・・嫌われてるのか?