第13章 白鳥沢と青の野望
「…戻りました」
屋敷の入り口に立つ川西さんは、屋敷の中に向かって声を上げた
それでも屋敷の中はシンとしていた
でも、少ししたらどこからか人が歩いてくる音がした
現れたのは、・・・べっ、弁慶?
「例の娘を連れてきました」
「ん、ご苦労さん。夜琉さん、ようこそお越し下さりました」
『あっ、いえ…お邪魔します…』
Black cat'sの海さんと同じ雰囲気の弁慶みたいな人が出迎えてくれた。川西さんが敬語ってことは白鳥沢のお偉いさん?
「ではどうぞこちらに…太一、あとは頼むぞ」
「はい…」
川西さんは頭を下げて屋敷に入って行った
あたしは弁慶さんに連れられて川西さんが入って行った方とは逆の方へ入って行った
弁慶さんの後に着いて屋敷の廊下を歩いて行く
弁慶さん、和服似合うな・・・ってかあたし!こんな格好でこんなとこにいてホントにいいの!?
『あっ…あの、弁慶さん?』
「私は大平獅音と申します、お気軽にお呼びください。何か御用で?」
れ・・・獅音!?名前のギャップよ!!
・・・いやそれより、
『あの、なんであたしなんかに敬語なんですか…?』
「若の思い人ですので、当然です」
『思い人って…1回しか会ってないんですから、思い人もクソもないです。』
「ハハハ、御厳しいですね。」
案内をしてくれている大平さんの背中を追いながらそんな話をする
思い人・・・、でもあの人が思ってるのってあたしに似た誰かでしょ?
それなのに、なんでまたあたしが呼ばれたわけ!?