第12章 黒猫の遊戯
「・・・クロくん、どういう意味?」
「そのままの意味、あいつを買いたいんだけど」
及川のきれいな顔が怒りで歪んでいく
そりゃ怒るよな
「…悪いけど、夜琉ちゃんは譲らないよ」
「だろうな、でも俺はお前なんかにあいつは渡さねえよ」
俺とにらみ合う及川を松川が止めに入った
でも及川はなおも俺を睨んでいる
「…クロくん。いつから夜琉ちゃんにそんなに入れ込むようになったの?」
「お前には関係ねえ」
「関係なくないよ。彼女は俺のものだよ…」
「あいつはモノじゃねえ、ましてや…お前の復讐の道具でもねえよ」
「・・・ッ!!」
俺が確信を突いたから、及川は俺に掴みかかった
「及川!!」と、今にも殴り掛かりそうになっている及川を松川が止める
「…いつかお前らからあいつを救い出す。絶対に…、あいつは殺させねえよ」
それだけ言い捨てて俺は店を出て、地下の駐車場に向かった
店から出た後、中から及川たちが揉めている声が聞こえた
俺は地下に向かいながら、スマホを確認する
そこには、夜琉からLINEが来ていた
〈今日はありがとうございました。今度は黒尾さんのお店に行きますね~(^_-)-☆〉
可愛い顔文字と共にありがとうというメール
ありがとう・・・か、俺なんておまえに感謝してもしきれねえってのに・・・
「…夜琉、俺が守ってやるからな」