第12章 黒猫の遊戯
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夜琉は、一緒にイってすぐ寝ちまった
でも、意識はないくせに頭を撫ででやるとすごくうれしそうだ
『…ん…、くろ…さ…』
ふにゃっと顔を緩めながらスースーと寝息を立てている
ホント、大きくなったな…
あの時は大きな黒いネコの人形を抱いた小さい子供だったのに、今はこんな風に男と寝れるような女になったのか・・・
10年経った今でも、あの日のことは覚えている
『夜琉…おいちゃんに生きててほしいから…』
あの時、初めて言われたんだよ
生きててほしいなんて・・・
あの時、お前にそう言われなかったら・・・
ピピピピピピピ・・・・・
部屋に設置された電話が鳴りだした
あっ・・・やべえ、もう2時間だ
さすがに20万はきついな・・・
「…はい?」
〈あ?夜琉は寝てんのか?〉
「あぁ、ちょっとやり過ぎた」
〈そうか、もう上がっていいって伝えてくれ。それと黒尾、お前一体いくら払う気なんだ?まぁこっちはありがたいがな〉
「はいはい、今出ますよ」
と、松川君からの電話を切って俺は脱ぎ捨てた服を着る
夜琉を起こそうか少し迷ったけど、俺は夜琉の鼻をつまんでたたき起こす
『んが!…何!?』
「起きろ、店長が上りだってよ。俺先に帰るな」
『ん~…、はーい。まいどありでぇ…す』
「おう、また来るからな。」
と、夜琉の頭をポンポンしてジャケットとカバンをもってエレベーターに乗った
その中で、カバンの中からスマホを取り出す
時間はもう1:26
あいつ、明日学校じゃねえのか・・・?と心配になりつつも俺はそれよりも俺のスマホに着いたストラップ・・・赤い石が埋め込まれたハートを抱える黒猫のストラップに目をやる
「・・・やっぱ覚えてねぇか、夜琉」