第11章 白鷲の帝王と及川の秘密
『っざけんな…』
「ん~?どしたの…!?」
『よくも…傷つけてくれたな…クソ野郎…』
あたしは、すっかり我を忘れて怒り狂っていた
左頬に当たっていたナイフを右手で掴んだ
それはさすがに及川さんもびっくりしていた
「えっ…そんなに怒る?」
『えぇ、あたし傷つけられるの大嫌いなんで』
にっこりと怖い笑顔を天童さんに向けてナイフを握る手から血が溢れても気にせず力技でナイフを取り上げた
「あら~怖いね~君、でもあんまお兄さんなめちゃダメだよ?」
と、天童さんは次に銃を出してあたしに向けた
ナイフの刃を握っている手は痛みと緊張で震えてたけどきっと天童さんから目を離したら撃たれると思った
「ねぇ、及川くん。」
天童さんはあたしに銃を向けたまま及川さんに話しかけた
及川さんも天童さんに銃を向けていた
・・・ってか及川さんも持ってたんだ・・・
「なんで俺に向けてんの?俺じゃないでしょ」
「今じゃないんだよ。まだ、時じゃない。」
「ふーん、でも時が来たら、君も彼女を裏切るんでしょ?」
「・・・裏切らないよ。」
2人の話していることはよく分からなかった
でも、あたしのことだなっていうのは分かった
時じゃないって何・・・?
「でも、今回はこっちに譲ってもらうね」
と一言ニヤリと笑いながら天童さんはあたしに向けていた銃を及川さんに向けてそのまま撃った
『ひぁ!?』
聞いたこともない騒音が耳を貫いた
耳を塞いでいると、天童さんがナイフを掴んでいる手をそのまま握ってきた