第1章 恋愛至上主義者なんて、マゾヒスティックでしかない。
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『はい、いちごオレ』
買ってきたのを翔悟に渡し、
その隣に座る。
「ん」
翔悟はすぐに飲むわけでもなく、
手の中でいちごオレを弄ぶ。
ふと、見上げた空は今日も青く澄んでいて、
暖かい太陽が私たちを包んでくれる。
「お前、ちゃんと自覚してんのか?」
『ん?なにを?』
「自分のことを。だよ」
『え?。。。うん?』
……どういう意味で?
「ホントかよ」
はぁ。
っとため息をはき、
屋上の硬いコンクリートの上に翔悟は横になった。
『してるよ!』
翔悟の言葉と態度に少し苛立ちを覚え、
言葉が強くなる。
「あのなぁ。。」
不意に腕を引っ張られたかと思うと、
『ひゃ?!』
翔悟に押し倒され、腕を押さえつけられる。
「男と二人っきりになった時、
こんな風に押し倒されたらどぉすんだよ?」
『そんなこと、ならない』
ぐっと腕に力を入れ翔悟を退かそうとする。
「世の中に、絶対。なんて事はない。
ほら、今だって男の俺に力で負けてんだろ」
そんなことを言いながら、
私の両腕を軽く頭の上まで持ち上げ、
片手で押さえる。