第7章 それぞれの気持ち
彼女の姿が目に入った途端
隣にいるやつの存在に気づき、視線を向けると思わず目を疑った。
何故かの隣には、最近よく部活で絡むようになった影山の姿が映ったからだ。
それも束の間、今にもと影山の唇が触れそうになっていた。
居ても立っても居られなくなった俺は、すぐさま勢い良く扉を開けた。
この先がどうなろうと今はそれどころではない
こっちの存在に気付いた2人はビクリと身体を震わせてこちらを見る。
開けたのはいいがどうしようかなんて考えていなかった
が涙目になりながら、弱弱しく俺の名前を呼んだ。
彼女の状態からして、もしかして、とは思ってたけどそれは間違いではなかったようだ。
顔は赤くほんのり火照っていて、この甘い匂い
ヒートと確信できるには十分だった。
俺はを影山を引きはがして、彼の手の中にあった薬を奪い彼女に渡した。
「大丈夫か?薬飲めよ…」
『っ…、ありが、と…っ』
彼女は俺から受け取った薬をすぐに口に含んだ。
『……ふぅ』
真っ赤に火照っていた顔は徐々に戻り、甘い匂いも少しずつ薄れていくのが分かった。
俺があの時扉を開けていなかったら、今頃と影山はどうなっていたんだろうか。