第7章 それぞれの気持ち
【後悔と甘い罠】SIDE Tsukishima Kei
身体は勝手に動き、二人の距離は徐々に縮まっていた。
まるで自分の身体ではないかのように、いうことの聞かないそれは気付いた時には彼女の唇を奪っていた。
そっと触れるだけのキスだけでは止まらず、僕は彼女の隙をつき唇を割って深いキスをした。
すると、彼女がいきなり僕の胸板を強く押してきた。
普通なら、そんなことでも動じなかっただろう。
けど、今は彼女の甘い匂いのせいなのか、少し怯んでしまった。
今度は彼女がその隙をついて、ガクガクとさせる足を立たせて屋上から出て行った。
「もう少し、楽しみたかったのになぁ…」
半開きの扉を見て、そう一人で呟いた。
なんて、本当に自分はそう思ってしまったのか
見ず知らずの、初対面の人に、僕が?
はぁ、本当に情けない、なんでここにわざわざ自分から来てしまったのか
幸い、他に誰もいなくてよかった。
そんなことを思っていれば、半開きの扉がゆっくりと音を立てて開いた。
「もう、こんなところにいた!」
開く前から、誰が来たかなんて分かった。
そして声を聞いて確信した。
「探したよ、ツッキー!!」