第1章 天使達
「やばいやばいやばいやばいっっ!!ミカエル先生に見つかったらめちゃくちゃ怒られる!補習なんかじゃ済まされないよ~!」
リリは粉々になってしまった宝石を持ってあたふたする。
と、その時。
ビシャーーーーーンッッッ
「うわあっっ?!」
突然部屋の中に雷の音が響きわたった。
「え?!雨なんか降ってないのになんで?!」
リリはもはや混乱状態だった。
あわてて本をのぞき込むと宝石がはめこまれていた場所から目が見えなくなるほどのまぶしい光があふれ出し、部屋をつつみこんだ。
「まぶしっっ…」
リリは目をつぶり、光がおさまるのを待った。
しばらくして光がおさまるとリリは恐る恐る目を開く。
するとそこには……
「あなた誰??!!」
さっきまで本があった場所に背の高い青年が立っていた。
青年はリリの言葉を聞いていないのか、驚いた様に辺りを見回している。
リリは無視されたことに少しムッとしたが、ぐっとこらえて青年を観察する。
漆黒の髪と瞳にすらっとスリムな長身、世間一般でいう美少年というものでまず間違いないだろう。
すると、ひととおり辺りを見回した青年が今度はリリを見つめて言った。
「お前誰……?」
「それはこっちのセリフなんですけど……」
リリは呆れた様に答える。
「つーかオレなんでここに……?おい、そこのガキ。ここどこだ?」
(ガキ?!そんなに年も変わらなさそうなのに……!)
「ここは天使養成学校の古書室です」
リリはだいぶイライラしながら答えた。
すると青年の顔色が変わる。
「は?!!天使養成学校?!てことは、ここ天界なのか?!」
「そ、そうですけど?」
「嘘だろ……」
青年がうなだれる。
「ここが天界じゃ何かいけない事でもあるんですか?」
「だって、オレ悪魔だし」
リリは耳を疑った。
「あ、悪魔?!なんで悪魔がこんな所に……?」
「ンなことオレが聞きてーよ。あーどうりで息苦しいと思ったぜ」
リリの頭の中が再び混乱状態におちいる。
(なんで悪魔がこんな所に……?てゆうか、さっき本のイラストみたいに醜い姿じゃないしどういうこと?)
青年の姿はリリが思い描いていた悪魔の姿と180度逆の姿だった。
リリが混乱と恐怖で固まっていると、青年が口を開いた。
「お前……なんか美味そうな匂いするな」