第1章 天使達
さんざんミカエルの悪口を叫びまくった後、リリはふと教室を見回した。
「えっ何これ……図書室みたいに本がいっぱいある!」
リリが連れてこられたのは古書を管理している教室で、普段使われていないせいか追試などの際に使用されることが多かった。
「って本に気を取られてる場合じゃないよ~……さっさと終わらして帰ってテレビ見ないと……」
リリは早速机にノートを広げ、書き取りを始めた。
しかし3分後。
「飽きた」
リリはものの数分で諦めてしまった。
「まず100回ってだけでやる気なくしちゃうよ~、もうコッソリ帰っちゃおっかな……」
そうつぶやきながら何気なく周りの本棚を見回す。
すると、1冊だけやけに装飾が豪華な古書が本と本の間にすきまなくはさまれていた。
「わ~、きれいな本……」
リリは興味本でその本を本棚から抜き出すと、ペラペラとページをめくってみる。
「天界と地獄についての本みたい……」
地獄とは生きている間、たくさんの悪事を働いた者が死後向かう場所だ。その程度の知識はリリでも持っていた。
「こっちは悪魔についての説明がのってる」
次のページをめくると、醜い姿の悪魔の絵がページいっぱいに描かれていた。
「『悪魔は、生前悪事を働いた者を地獄へと導く使者であり、天界でいう天使と同じ役割を果たす。』って、悪魔と一緒にしないでよ!!」
実際にリリは悪魔そのものに出会ったことはないが、両親や学校での授業の話の中では悪魔はとてつもなく醜い姿と鼻の曲がる様な独特の臭いをはなち、地獄へおちた者を見て大笑いする……という恐ろしいイメージがあった。
「天使は美しく、優しいんだから!全く……ん?」
ふとリリはページをめくる手をとめた。
否、ページをめくれなかったのだ。
リリが手をとめたページはまるで扉の様になっていて、真ん中に綺麗な赤い宝石が埋め込まれていた。
「わー!キレイ!!」
リリはそっと宝石の上に手をのせてみた。
その時、ふとさっきの書き取りの呪文がリリの頭に浮かんだ。
その瞬間。
パリンッッ
「えっ?!うそ?!!!」
宝石が見事に粉々に砕け散ってしまった。