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【DBGTトラ】逢いたくて

第1章 前編



「ユメ、そろそろ機嫌直して? 久し振りに会えたんだしさ」

「…………」


 トランクスの部屋。

 ユメはお気に入りのクッションを強く抱き締め、彼に背を向け正座していた。

 トランクスは先ほどから一向に口を開かないユメに必死で話しかけている。

 ……会ってから早30分、ずっとこの状況が続いていた。



 今日、久し振りに会えたふたり。

 だがユメは、会った時からずっと不機嫌だった。

 しかしそれも当然のことかもしれない。

 ろくに説明もないまま数ヶ月、宇宙に旅立っていたトランクス。

 地球に帰ってきてからも色々とあって、トランクスにとってはあっという間の数ヶ月だった。

 けれど、ただひたすら待っていたユメにとっては、同じ時間でも酷く長く感じられたはずで……。

 それを十分にわかっているトランクスは、ただ焦ることしか出来なかった。


 と、思いついたようにトランクスは少し声を大きくして言った。


「今日は何でもユメの言うこと聞くから!」

「……ホント?」

「え」


 ずっと背中を向けていたユメが急に真剣な顔で振り返り、トランクスの瞳をじっと見つめた。


 その時、トランクスは内心ホっとすると共に……なぜかとてつもなく嫌な予感を覚えた。


「本当に何でも聞いてくれる?」

「あ、あぁ……うん、もちろん! 何でも言って」


 なぜか冷や汗をたらしつつも、頷くトランクス。

 そして。


「じゃあ。トランクス、……女装して」

「へ?」


 思わず声が裏返る。

 そしてやっぱり真剣なユメ。


「パンちゃんから聞いたよ。トランクス、どっかの星で女装したんでしょ?」


 トランクスの顔がおもしろいくらいに変化していく。

 最初青くなったと思ったら、今はもう耳まで真っ赤だ。


「……パ、パンちゃん、何で言うかなぁ~~!!」


 トランクスが一人で悶絶している中、ユメは今日始めての笑顔を見せた。


「ねぇ、トレランスちゃん……何でも聞いてくれるんでしょ?」


 だがその笑顔には、鬼気迫るものがあり、


「~~~~~~!!」


 トランクスは何も言えなかった……。


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