第3章 記憶
太宰さんは、ちょっと待っててね、と言うと扉の奥に消えていった。
しばらくして再び現れた時には、ノートパソコンのようなものを持ってやって来た。
そして太宰さんはそのゆーえすなんたらをノートパソコンに繋げて、しばらくカチカチ何かをしたあと、画面を私に見せてきた。画面を見ようと思い、体を起こそうとすると、与謝野先生が私の背中を支えて起きるのを手伝ってくれた。
暗いパソコンの画面に写ったものは、大量のグラフと、数字と文字が並ぶ、何かの調査書のようなものだった。
「見覚えは?」
「………ないです…。」
太宰さんは、目をぱちくり開けてパソコンの画面を凝視している私を見て、私が本当に記憶がないのだと確信したらしく、
「記憶がないのは本当のようだね…。」
と呟いた。そしてしばらく何かを考え込んでいるような表情になる。
そのとき。
ぐ~きゅるる~…。
私のお腹の虫が盛大に鳴いた。