第22章 彼の訪問
「でも、何だかその名前、大袈裟すぎて気持ち悪く思うんだけどな。」
「確かに、ラスボス感漂う名前ですね。」
明人の返事を聞いて、思わず日代君が魔王の格好をしているところを想像する。
「でも何か、勇者に闘い挑まれても、ケガするだけだからよしときなって諭しそうだね」
あまりにも私の想像した魔王の衣装が似合ってなかったのと、勇者の肩にポンと手を置いて、日代君が優しく諭すところを想像して、笑いがこみ上げる
「……。でも案外俺も魔王かも知れないな。」
と怪しげに日代君が笑う。
「何かそれ、悪役みたいな笑いかたですね」
日代君は声に出して笑っても、ハハハッと笑う感じだからか、フハハハ、と笑われると違和感がある
「でも日代君は正義の味方だよ?優しいし。家族おもいだし」
明人の言葉に私は思わずそう言った。
「悪役は向いてないよ。」
「それはありがとな。」
私の言葉に日代君はいつも通りの笑いかたをする。
あ、目尻にしわができてる。
日代君は笑うとき、顔を少しクシャッとして笑う。
それが何だかいいな、とは思っていた。座っていて同じくらいの目線になって、今、気がついた。
かわいいな。本当に楽しそうに笑うよね、日代君って。
右隣に座っている日代君を思わずポーっとして見ていると、左隣に座っている明人が私を肘で軽くつついてくる
あ、いけないいけない。
「そういや、日代君はバイクの免許持っているのか?」
お父さんはその事がずっと聞きたかったらしく、言えるまでずっとそわそわしていた。