第22章 彼の訪問
「今日は家の用事を全部済ませてきたんで大丈夫です。この前はすいませんした。急に傷だらけで押し掛けて…」
「いえいえ、いいのよ。それは娘を助けてくれたからでしょう?そりゃ多少はびっくりしたけれど、ちゃんと礼儀も知っている人だし、ほんの少ししかお話できなかったけど、とても楽しかったから」
そういえばお母さん、日代君のお腹がシックスパックだって興奮してたな。
あれは娘としてはちょっと恥ずかしかったけど、日代君のことを拒絶せずに受け入れてくれた、お母さんたちに感謝したなぁ。
「俺、日代さんの武勇伝、聞きたいです。日代さん一時期すごい噂になってたけど、それが本当なのか嘘なのか、いろんな情報入り乱れててわからなかったんですよね。」
明人は日代君にストレートに切り込んでいった
それは多分、私がずっと日代君に聞きたかったことも含まれているに違いない。
「ああ、答えられる範囲内でなら、構わねぇよ。」
「まぁ、立ってるのも何だし座りませんか。」
なぜか一番年下の明人がこの場を仕切り始め、どこかの偉い社長みたいなことを言い出す。
みんなが椅子に座ったと同時に、明人がすぐさま質問した
「日代さんの二つ名って鮮血の赤鬼ですよね。その由来って、喧嘩した相手の返り血で髪の毛が真っ赤になったのと、red crashのリーダーをかけたって噂を聞いたんですけど、本当ですか?」
え!?そんな話、聞いたことがない…!!
二つ名とか…!
「まぁ、喧嘩した相手を返り討ちにしちまったことはたくさんあるけどよ、そこまで返り血浴びたコタぁねぇな」
そもそもこれもちゃんと染めてあるしな。と笑いながら日代君が髪の毛を軽く触る。
まぁ、そこまで相手をぼこぼこにしたら犯罪になりそうだよね。