第22章 彼の訪問
お昼過ぎ、約束の時間にインターホンが鳴った。
緊張しながら待っていたので、思わず飛び上がりそうになる
自分の部屋から階段を駆け降り、玄関のドアを開けるまでの時間が、なぜだかもどかしく感じる
ドアを開けると、彼が立っていた。
「よぉ。今日はありがとな」
「うんん!今日は来てくれてありがとう。」
入って入って、と日代君を家にいれたとき、お父さんがリビングから顔を覗かせた
「日代君、今日は来てくれてありがとう。」
「いえ、日曜のゆっくりしたいときに来ることになってしまってすみません。」
日代君は靴を揃え、お邪魔します、と言いながら家に上がる。
相変わらずの行儀のよさで、自分は人の家に行ったとき、行儀よくできているのか、少し不安になる
「今日、日代さんが来るからか、父さんと姉さんがすごいそわそわしてたよ」
お父さんの後ろから顔を覗かせた明人が、そう言って日代君を見上げる。
普段は少し大人びたことを言う弟だが、まだまだ中学生なので、日代君と並ぶと幼く見えた
「あ、明人!余計なこと言わないで!」
明人の方に思わず駆け寄ろうとすると、
「そりゃ良かった。俺が来るの、楽しみにしてくれてたんだな。」
と日代君がワシャワシャと頭を撫でてきた
「う、うん!友達だからね!」
と思わず、そう返してしまう。
あああ!自分としては友達以上になりたいのに!
明人の方は、私が頭を撫でられて動揺している姿を見て、良かったね、なんて口パクで伝えてくる
「俺も親父さんと話せるの楽しみにしてたんすよ。バイクについて話せる相手、周りに少ないんで。」
そう話ながら私と一緒にリビングに入る日代君の顔が嬉しそうなので、自分もバイクについて勉強しようかな、なんて少しお父さんとバイクに嫉妬してしまう
「日代君いらっしゃい。今日は晩ごはん、一緒に食べれる?」
リビングに入ると、お母さんがニコニコしながら立っていた。