第22章 彼の訪問
そして、今日は日代君が私の家に遊びに来てくれる日。
私はどうしてもそわそわしているのを明人に見られて、笑われてしまった
「もしかして姉さん緊張してる?」
「もしかしてじゃなくて、当たり前に緊張してるよ」
「前のは状況があんなのだったから置いといて、男友達を家に呼ぶなんて初めてだもんねぇ。」
明人は納得したように頷く
「でも、もうそろそろ関係が変わってきた頃なんじゃない?どうなの、日代さんとは」
明人に顔を覗きこまれて焦ってしまう。何だか明人には全てを見透かされそうで怖い。
「ど、どうって?」
「やだなぁ、とぼけないでよ。付き合ったりしてないの?」
「ま、まさか。つ、付き合ったりなんて、してないよ!」
思わず声が裏返ってしまう。明人にはそれだけで読み取れてしまったらしい。
肩にポンと手を置かれ、
「まぁ、姉さん頑張りなよ」
なんてことを言ってくる。
弟に好きな人がバレるっていうのはなかなかに恥ずかしい。
「俺、日代さんがいつか、姉さんの彼氏として遊びに来てくれたら嬉しいかな。」
「え、えっ⁉」
明人にそんなことを言われるなんて、思ってもみなかったから、ただただ驚いてしまう
「日代さん、見た目は怖いけどさ、絶対好きな人ができたらめちゃくちゃ大事にするタイプだと思うんだよね。そんな人と姉さんが付き合えたら、弟としては安心じゃん?」
明人は私に向かってにっと笑う
「それに俺から見ても、日代さんは男らしくてカッコいいと思うしね。」
今日は楽しみだね。と言いながら明人は立ち去っていった。
うわぁぁ。
明人の姿が見えなくなってから心の中で叫ぶ。
思わず、日代君を恋人としてこの家に呼ぶところを想像してしまった。
今日、また日代君に一歩、近づけるといいな。