第21章 お礼をさせて
祐希side
「あ、おはよう」
日代が教室に入ってきたのでそう声をかける
「おう、はえーな、お前」
「そりゃ、昨日日代、急に帰ったからね。宮原さんと何してたのか気になって、ついね」
昨日横で電話していると思っていたら、急に立ち上がって「今日はもう帰る」の一言で帰られたら気になる
「それで、宮原さん、何かあったの?」
「俺もそれを心配していたんだが、どうやら久しぶりに会いたかったらしい」
久しぶりにって。たった2週間なのにね。他校の友達って、予定が合いにくいからそんなに頻繁に会えるもんじゃないのに。
そんなに短い期間でお互いが会いたい、と思うのなら、二人の仲は相当深まっているに違いない
まぁ、当の本人は鈍すぎて話にならないけど…
つい、日代をチラ見してしまう
「何だ?」
「何でもない。」
目が合ってしまった
「なぁ、お礼でプレゼント渡されるなら女なら何がうれしいかお前わかるか?」
ああ、宮原さんにプレゼント渡そうとしてるんだ。
本当に何て言うのか…健気だよね。
「人によると思うな。俺らが子供だったときも、ロボットのプラモデル貰って喜ぶやつと、サッカーボール貰って喜ぶやつがいたし。女子だってそうだろ」
うーん、と日代が唸る。
「そういや、日代達はお礼の時以外に遊ばないの?」
この前も助けてもらったお礼、とか迷惑に巻き込んだ詫びとかなんとかで遊んでいたし
「いや、男子から理由もねぇのに遊びに誘われるって、不審な感じしねぇか?」
「お前、全世界の今彼女いる男に謝れ。」
日代は素直にすまん、と詫びてくる
「会いたいから会う。これが立派な理由だよ。それじゃダメなの?実際昨日も宮原さんが会いたいって言ったから会ったんでしょ。」
「確かにそうだな。」
「それに、友達なんでしょ。何で変に遠慮するの」
多分それは恋だから、というのにこいつは気づいていないんだろうな