第13章 お出かけ
それから一時間半後、映画を観終えて私達は外に出た
「さっきので泣いたのか?」
明るい場所になったとき、私の目が真っ赤になっているのを見たのか、日代君が聞いてくる
うん、と返そうとしたが、泣くのをこらえようとすると、言葉がつまって声が出なかった。
日代君が無言でハンカチを出してくれたが、私はそれをやんわりと押し返す
「大丈夫、今日は持ってるから」
自前のハンカチで涙を拭っていると、
「兄としてはなかなか複雑な心境だな」
と、日代君が冗談を言う
「妹だって成長するよ?」
と私も言い返すと、それもそうか、と日代君は楽しそうに笑う
「さっきの映画が、良かったな。恋愛でも甘すぎると俺はちょっと苦手なんだが、今回のは、俺も感動した」
確かにね、男の子に恋愛ものはちょっときつかったかも。でも本人が楽しんでいたなら今回はいっか
「そうだね、主人公たちが永遠に会えなくなるのかと思って悲しくて泣きそうだったんだけど、結局巡り巡って再開できたところで涙腺が崩壊しちゃった」
泣き顔を見られたことで、少し照れてしまう。
そのせいか喋りはやたらと饒舌になった
「もう一回見に行ってもいいと俺も思ったな。さすがに泣いたら俺の場合だと周りから変な目で見られるからな、我慢はしたが、俺も少しうるっときちまった」
日代君が泣き出す絵面を思い描き、おもわず吹き出しそうになった
その時、目のまわりにあてがっていたハンカチを下におろす
その時、日代君がぎょっとした顔になった
「…。宮原」
「何?」
「化粧室に行ったほうがいいと思うぞ。化粧が涙で崩れてる」
反射的にハンカチをもとの位置に戻した
「…見た?」
「ちょっとだけな…」
「今のは忘れて!」
私は化粧室へとダッシュした
…。なんで日代君の前ではいいかっこ見せれないんたろう
私は自分のふがいなさを悔しく感じた