第13章 お出かけ
「シンデレラと言えば宮原。お前の方こそシンデレラだと俺は思うんだけどな」
「?」
自分がそんなお姫様に当てはまるような部分があるのか。いや、ほとんどありえない
「ほら。お前が慌てて病院行こうとしたとき。靴が脱げただろ。遊んでいたのをパーティーと置き換えてみれば、シチュエーションはバッチリじゃねえか?」
確かに。パーティーの途中、みんなが盛り上がっている最中に慌てて帰ろうとし、靴が脱げる
そのシチュエーションはまるかぶりだ
「じゃあ、日代君は王子だね!」
「?」
「だって追いかけてくれたでしょ。まあ、あれは私がカバンを忘れたからだけど」
そう言い終えたときに、私はある失敗をしたことに気がついた
日代君に王子って!何、恥ずかしいこと言ってるの、私!!
それに物語では王子とシンデレラは恋におちるのだから、恥ずかしさが上乗せされた
「俺は王子のがらじゃねぇと思うけどな」
日代君が笑ってくれたのがせめてもの救いだ
「私だってお姫様、似合ってないと思う」
何だ、私達結局シンデレラじゃないじゃん。と思わず二人で大声で笑いそうになった
しかし、ここがレストランだと思い出して踏みとどまったけれど
「んじゃそろそろ食べ終わったし、行くか」
「うん」
そのあと、レジで無理矢理奢られてしまい、一悶着あったが、私達は映画館に向かう。
レストランを出た直後、日代君がボソッと呟いた、
俺が王子なら暴君なんだろうな
という言葉はどういう意味なのだろう
どうやら独り言だったようなので聞き流すことにしたが、私の頭の中に長い間記憶されることになった