第13章 お出かけ
「本当に買い物に付き合ってくれてありがとう。」
日代君に頭を下げられた
「いや、そんな。私もこれは助けてくれたお礼で付き添ったんだし、後で私の観たかった映画一緒に観てくれるんだから、気にしないで」
ちなみにここはレストランだ。ここでお昼を食べてから映画を観に行く
日代君は注文したスパゲッティを綺麗にフォークに巻き付けている。男子ならハンバーグとかステーキを選ぶのかな、と思っていたのに、何だか意外だ
そして口に運んで、一口食べ終えると彼は嬉しそうに微笑んだ
「うまいな。これ。家でも作れっかな」
日代君がお母さんのオーラを放っていて、何だか辛い。女の私の得意料理は目玉焼きだというのに
「そう言えばさ、日代君って…
シンデレラってほんと?」
この前由梨花に耳打ちされてしった衝撃の事実。
藍那と叫んでから、本人に事実を確かめようとずっと思っていたのだ
日代君は私の放った言葉にひどく動揺したようで、食べていたスパゲッティをのどにつまらせたようだ
咳払いをし、水を飲んで口を開く
「それ、誰から聞いた?」
「由梨花が、祐希君が教えてくれたって」
「あいつ…。」
どうやら彼の気にさわることだったようだ
「ただ、帰んのが、他のやつより速いってだけなのに、あいつがそんな名前つけやがったんだ。俺は女じゃねぇぞ?ましてや姫じゃねぇ」
確かに、不思議なネーミングセンスだ
「「あいつって真夜中どころか、夕方に帰っちゃうんだよな。シンデレラよりもはえーよ。」って祐希君が言ってたって」
私は追加で報告する
確かに、この前も私の家に来たときにあたふたと帰っていった
「門限は何時なの?」
「そんなん特にねぇよ。ただ俺が早く帰ってるだけだ」
「そっか。じゃあ今日は何時まで大丈夫?」
「今日は…。お前と約束してたからな。遅すぎなければ大丈夫だ」
楽しみだったからな、と日代君に付け加えられた言葉になぜか胸がキュッとなったのは気のせいだろうか