第13章 お出かけ
私の付き添いでオモチャ売り場でマイメ○のヌイグルミの前で考え込んでいる日代君
「何か悩んでる?」
「なあ、デカイヌイグルミと小さいヌイグルミ、どっちがいいと思うか?俺はデカイやつ渡したらいいかと思ったんだが、やっぱり女子の意見も聞きてぇなと思ってよ」
「小さいうちは大きいやつだと珍しくてうれしいかもしれないけど、部屋に置いてるとちょっと邪魔に思えてくる時期があるかもね。それにお兄ちゃんに貰ったから捨てるに捨てれない…。ってなるかも」
日代君の目が瞬いた
「…。俺、先のこと考えてなかった。確かにデカイのが部屋にあったら困るかもな」
日代君がマイ○ロの小さいヌイグルミを手にする
「小さいのだって十分かわいいしね。」
「そうだな」
日代君が嬉しそうに笑う。見た目が恐い人が、かわいらしいヌイグルミを持つ、という構図は周りの人から見れば、不思議な光景かもしれない。でも私にはとても微笑ましい光景だった
「いいなぁ、こんなに優しいお兄ちゃんがいるなんて、妹さんが羨ましい」
「…?そうか?俺は弟がいてもいいとたまに考えるけどな」
「でも私のとこの弟ちょっと生意気だよ」
「それはだいたいの姉とか兄が感じることなんじゃねぇか?そんでもやっぱり憎めないと思うところとか。」
「まあ、確かに嫌いになれない」
私のことをからかってきたりするけれど、やっぱり家族だから信頼してしまう。安心できる。兄弟ってそんな感じなのかな
「まぁ、俺は妹のこと一度も生意気だと思ったことがないな。まだ幼いからだろうが」
そんなことないと思う。由梨花から、一度聞いたが、日代君はシスコン気味だと祐希君が言っているらしい。本人は絶対に認めないけれど
でも、それは日代君らしいな、と私は思う
彼は心から大事な人を大事にしているだけなんだ
私のことはどう思っているかわからないけれど、傷を負ってまで助けるところとか
私はレジで店の人に驚かれている日代君を見てクスッと笑う
他の人から見れば、何事だろうと思われるだろうが、これは彼の愛情表現なんだ