第11章 ご対面
「腕の包帯は何とかなったわ。じゃあ、次は背中とかお腹のケガ、軟膏とか塗っといた方がいいよね?」
「いや、そこまでしてもらったら悪いですよ。心配しないでください。腹とか背中がほとんどアザにまみれたことがあったんすけど、その時に比べれば、たいしたこと無いです」
でも、その発言、アザがあるってことだよね⁉
なんかもう日代君には頭があがらない
一生感謝し続けても足りないだろうな
「そんなこと言って、若いから回復力は私たちと断然違うけど、あなたの顔のアザの様子だとお腹とかも結構酷いことなってそうよ?」
「本当に大丈夫です。えっと、俺の腹見せても娘さんには見苦しいだけだと思うので、ほんとに…」
私は日代君の後で速く手当てしてもらえ、と思って話を聞いていたが、その言葉を聞いて思い出した
そうだった…!プールでもないのに男子の上半身見るとか耐性無いから無理だ…!
高校も体育で習う内容は選択できるようになったので、金づちな私はダンスや球技ばかり選んでいる
男子の水着姿なんて中学以来見ていない
思わず真っ赤になったが、幸運なことに誰も私を見ていなかった
「心春なら平気だと思うけど、そうねぇ、日代君も照れ臭いわね。じゃあ隣の部屋で塗ってあげよう」
お母さんは日代君の手をひいて隣の部屋へ行ってしまった
「いいの、父さん。日代さんに母さんとられて」
「別に、ただの手当てだろ。そんなの小学校でも毎日している」
明人はいじりがいがなかったからか、ちぇ、と残念そうに呟いていた
流石、恋愛結婚は偉大だ
「あら、やだぁ!日代君の腹筋すごいわねぇ!これ、いわゆるシックスパックじゃない?」
と、たまに隣の部屋から聞こえるお母さんの発言を聞いて、恥ずかしくなった