第11章 ご対面
「じゃあ、昨日心春を病院まで送ってくれたのは日代君だったのね。」
昨日からのことを順を追って説明すると、手当てをしながら聞いていたお母さんは納得した顔になった
本当は私が手当てをしたかったのだが、あいにく不器用な手つきで日代君に消毒をしようとしたので、小学校の保健の先生であるお母さんが私から包帯や、消毒液の入ったビンをことごとく取り上げたのだ
日代君にその様子を見られ、
「やっぱり、お前って不器用なんだな」
と少し笑われた。…穴があったら入りたい
「俺も帰ろうと思っていたところだったので、偶然です」
鞄を持って追いかけてきてくれたのに。私が恥ずかしがっていたから、多分言わないでいてくれたんだろうな
「それにしても、不良に捕まった話はびっくりしたわ。二人とも無事で良かった。そういうときは大人に相談ってよくみんな言うけど、実際は無理よね…」
多分大人に相談していたら私は今ごろ手後れの状態だっただろう
「日代君が強い男だったから良かったものの…。ナイフで喧嘩とはあまりよくないね」
お父さんが眉間にシワを寄せる
「すみません。娘さんをこんな目にあわせて…。俺がもっと周りに配慮しておけば…」
「え、そんなに狙われやすいなんて、日代君ってどこかのお金持ちの息子?」
黙って聞いていた明人が、お母さんの発言にずっこける
「そんなわけないでしょ!日代さんは、readcrashのリーダーだよ?!」
「「えっ!?」」
お母さんとお父さんが顔を見合わせる。
日代君は居心地が悪そうにした
「それは本当なの?」
「いや、昔はそうだったんすけど、半年前に辞めました」
両親は物珍しげに日代君を見る。
「じゃあ、バイクで国道を走り回ったり、窓ガラスを叩き割ったりとかしてたのか?」
お父さん、直球過ぎるよ!
「あ、ごめんね日代君。お父さんあれでも昔は不良の端くれだったのよ」
と、お母さんが爆弾発言をする
日代君は驚いたように目をみひらいた
「いや、俺たちのグループは、大人に反抗するためにつくられたものではないので、そういうことはしてないです。まあ、バイクで国道を使ったことはありますが」
「あらそうなの」
どういうことなんだろう。私は日代君の発言を不思議に思ったが、話は違う方向へと進み、結局聞くに聞けなかった