第11章 ご対面
日代君にバイクで家に送ってもらい、まだ少しだけ気が引けている彼を引っ張りながら家に入る
「ただいまー」
すると誰かが走りよる音がして明人が玄関に顔を出した。
何でそんな走る元気があるんだ。打撲もたいしたこと無かったんだな。
と思わずそう考える
「姉ちゃん何で来てくれなかったんだよ?
って…。ど、どなたですか」
私の後ろに立っている日代君を見て、最近少し生意気な明人が唖然とした表情を見せた
少ししてやったり、と思ってしまったが、明人が日代君をどうするのか緊張する
「どうしたの?明人。心春と喧嘩でもしたの?」
とお母さんが遠くから私たちに声をかけ、どうやらこちらに向かっているらしい。スリッパを履いて歩くときのあのパタパタという音が聞こえた
そしてお母さんがひょいと顔を覗かせ目をみひらく
「あら、彼氏さん?」
「「違います!!」」
思わず日代君と二人でハモる
「どうした母さん」
どうやらお父さんも帰ってきていたようだ。
何だか大変なことになってきた
「き、君は…!私の娘が君に何かしたのか!暴力とか…」
日代君の顔の傷が酷いからって、自分の娘を何と思っているのだろう。失礼にも程がある。
私が日代君をボコボコにしたとでも言いたいのだろうか
「ち、違うの!日代君は不良に絡まれた私を助けてくれただけで…」
いちいち説明すると、双方が土下座するか何かを起こしそうなので、私は端的に説明した
日代君何て真っ青で困った顔をしている
「それで深手だったから、手当てしようかと…」
両親と明人は明らかにホッとした顔をした。
「なら、速く手当てしなきゃ。どうぞ上がって」
お母さんが日代君に手招きする
「お邪魔します」
日代君は少し肩身狭そうに家へと上がる
「ねぇ、本当に姉ちゃんの彼氏じゃねぇの?」
明人がこっそり耳打ちをする
「違うってば!!」
何故私がその時顔が熱く感じたのか、まだ理由はわからなかった