• テキストサイズ

私達は偽者シンデレラ

第10章 HERO


彼は少し息を切らし、握った拳はいくらか傷ついているように見えた


「来たぞ」


日代君は向坂を睨み付ける


「そのようだなぁ。」


「俺が来たんだから、彼女は開放してやれ」


「あんたが俺たちをやっつけたら、その後あんたが縄ほどいてやればいいだろ?まあ、あんたが勝てるとは思えねぇけどな」


向坂は今まで何度も見せたあの下品な笑みを浮かべる


「その言葉、そっくりそのまま返してやる」


日代君が構える


「宮原。お前こっちみんな。下向いてろ」


日代君に言われて、意味がよく分からなかったが言われた通りにする


と、その時、鈍い音がした。


「言っておくがこれは正当防衛だからな!」


と日代君の声がして、バキッともっと何かが激しくぶつかった音がする


「ぎゃ」


と、向坂の悲鳴が聞こえた


つまりこれは…


日代君が向坂と闘っている?


「優しいよね、彼。お前が人が力一杯殴られた所とか見慣れてないから、そう指示したんだ。でももしあいつがお前に見せてきた優しさが消えたとき、君はそれを受け入れることができんのか?」


銀髪の男が私の耳元で囁く


「っ、それは彼なら何か彼なりの理由がきっとあるからです。私が納得できる理由があるなら受け入れます」


私は下を向いたままだったけれど、これは本当のことなのでそれが伝わるよう力強く答える


「ふぅん、お前、面白くないね」


銀髪は私が全く動揺しなかったからか、そう呟いた


面白くなくてけっこうだ


私はそう言いたいのを押さえた



/ 206ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp