第9章 目が覚めて
日代君side
バイクを走らせながら俺は思い巡らす
きっと、写真の風景からして、あいつらの溜まり場で、海沿いにある、もう使用されていない工場だ
偵察に行ったことのある仲間が言っていたことを思い出す。
工場の一番太い柱に、やつらのグループの名前が彫ってある
その言葉の通り、向坂の後ろには宮原が柱にもたれさせていて、その柱には確かに向坂達が名乗るグループの名称が彫られていた
俺がたどり着けるようにわざといろいろと情報を与えている
何だかなめられているようで腹が立った
でもそれよりも、一刻も早くたどり着いて、宮原を助けなければいけない
俺が来るのが遅かったらあいつらが何をするのか。
今まであいつらのやってきたことを考えるとゾッとする
俺は族にいた頃と同じくらい速くバイクを走らせる
警察に見つかるかもしれない。でも、そんなことより、せっかく少しでも仲良くなれた人を助けることの方が大切だ
それにこれは自分が招いたことなのだから
頼むから間に合ってくれ!!
そう叫びたくなるのを押さえる代わりに、バイクのスピードをさらに上げた