第9章 目が覚めて
目を覚ますと見覚えのないところだった
「あ、起きたぞ。」
さっきの二人組とは違う銀髪の人が私を見て言った
その声を聞いて金髪のさっきの男子が私に近寄ってくる
「おはよう。目覚めはどうだった?」
爽やかな挨拶をされて、カチンとくる
「あのねぇ、最悪よあんたらのせいで」
ご丁寧にロープで腕や手は縛られて、自由に動くのは不可能だ
それに連れ去られるときに殴られた部分はまだ痛い
「言っておくが、ここから逃げるなんてこと、不可能だからあきらめな。もし助けを呼ぼうと大声出したら…」
銀髪が私の近くへとさらに近付くその手にはナイフがあった
「お前のその喉元掻ききってやる」
首にナイフを当てながら私の耳元で囁く
一気に鳥肌がたった
「わかった。私はどうすればいいの?」
「お前はただ、ここに座っておけばいい。だって日代をおびきだす餌だからね。だから日代が速く俺たちの所にたどり着けるように、あんな目立つ所であんたを拉致ったし、あんたを騒がせたんだ」
金髪がにこやかに言う
まさか、そんな思惑があったとは
「でも、日代君が、絶対来るなんてわからないでしょう?」
「いや、俺が電話したら超キレてたから、絶対あいつは来る」
金髪の男がニヤニヤ笑う
「あ、そうそう。俺は向坂って言うんだ。よろしく」
金髪…いや、向坂の言葉をスルーする。
こんなやつによろしくされたくない。
「もし、日代君が来なかったらどうするの。」
「それはもちろん」
向坂が、今までで最高の笑顔を見せた
「俺たちをこころゆくまで君に慰めてもらうから」
どちらにしろ日代君が来てくれなかったら、私の身に危険が迫る、ということか
私は悔しくなって、向坂を睨み付けた