第8章 誘拐
日代君side
今日は学校に来てから祐希達にどうだったのかとさんざん聞かれた
「何もねぇよ。急いでいた宮原をバイクで送ってやっただけだ」
そう言ったら中学の頃から俺を知っている祐希はとても驚いていた
間抜けな顔でこちらを見ている
「…何だよ」
「いや、お前仲間とか俺しか一緒にバイク乗せてくれたことねぇじゃん。その上女の子とか。いやー、俺の思っている以上に君たち仲良くなってるね」
「別に仲良くなってるとかじゃねぇよ。ただ困っていたから助けただけだ」
そんな嬉しそうな顔で見ないで欲しい。とてつもなく居心地が悪い
そんなときふと隣のクラスのあいつのことを思い出す。
「そういや神崎の方はどうなった。あいつもう一人の女子といい雰囲気だっただろ」
名前はなんだったか忘れてしまった
「何か、連絡先交換していたよ。もしかしたらいい感じに進展しそうだった。」
「そうか。あいつ彼女欲しいって言っていたもんな。それはいいことだ。」
思わず頬が緩む。
「あー、日代は神崎のことどうでもいいからとりあえず宮原さんのこと考えようか」
「どうしてだ。」
祐希が困ったように額に手を当ててため息をつく
「これだから鈍感は…」
「悪い、よく聞こえなかった。何か言ったか?」
あいにく祐希がぶつぶつと呟いていたために聞き取ることができなかった
「いや、何でもない。ところでもしかしたら今日日代のとこに宮原さんから電話くるかもしれないから、知らない番号でも出てやって」
「番号、お前が教えたのか?」
「何か由梨花が宮原さんが日代にお礼したいから番号知りたいって言ってたことをメールで伝えてくれたから。ダメだった?」
「いや、別に構わない」
ただ、少し困った。女と電話なんてろくにしたことが無いから、電話がかかってきてもどう答えればいいのか…
そんなとき、俺のケータイが着信音を鳴らす
「ほら、さっそくかかってきたんじゃない?」
確かに見ると知らない番号だ
俺は腹をくくって、電話にでることにした。