第40章 お前の気持ち
心春side
私と夏実さんが二人がいる部屋に戻ると、やけに二人は静かだった。
夏実さんはそんな二人に何も聞かない。
ただ、今日はご飯を食べて帰る?と同じく静かに尋ねただけだった。
「いや、宮原んちの親も心配しているだろうし、そろそろ帰ります。今日はありがとうございました。」
日代君が頭を下げたのを見て、私も慌ててそれにならう。
「全然大したことないから、そんなに大袈裟に言うなって。また二人ともいつでも来な。」
夏実さんは日代君の背中をバシバシ叩く。
「まぁ、助太刀でもなんでも俺にできることならなんでもするからよー。雅も困ったことがあったら早めに言えよなー。」
「はい。」
二人の暖かい笑顔に見送られて、私達は歩き出す。
「日代君、バイクはまた違う日に取りに行くの?」
「ああ、今日は流石に運転する自信がねぇな。」
けがをしているからか、いつもより彼の足取りはゆっくりで、私は歩調を緩める。
いつもは私に合わせてくれているんだよなー、と考えると何だか今は逆の立場になっていることが妙にムズムズして、そしてうれしい。
私が少し浮かれて歩いていると、日代君が立ち止まる。
「…。日代君?どうかした?」
日代君は私が振り返り立ち止まってから口を開いた。
「俺、宮原のことが好きだ。」