第40章 お前の気持ち
「…え?」
私の都合の良い空耳なのではないかと、耳を疑った。
それはlikeなのかloveなのか。
「ふった癖にって思うかもしれねぇけど、俺はお前に…惚れてるんだよ。」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら。でも彼は絶対に目を逸らさない。
その真っ直ぐなところは彼らしかった。
「俺と…。付き合ってくれませんか。」
そう思っている私も魔法にかけられたように目が逸らせない。心臓が信じられないスピードでリズムを刻んでいて、それでいて心地よかった。
「はい。」
返事に時間なんていらなかった。ずっと欲しかった言葉、ずっと憧れていた関係。
私は日代君の彼女になれるんだ。
じわじわと実感がわいてきて、涙が出そうになった。
「宮原?もしかして泣いてる…?」
どうやら実際に涙目にはなっていたらしい。日代君が戸惑った様子を見せた。
「うん、でも嬉しくて泣きたくなったの。日代君のせいじゃない。」
私はにっこり笑う。
日代君は遠慮がちに手を伸ばし、私の手をそっと握る。
「俺、お前が告白してきたとき、既にお前のことが好きだった。」
日代君の顔も、少し苦しそうな、それでいて口元には笑みが浮かんでいる。そんな不思議な顔だった。
やっと日代君の本当の気持ちが聞けるんだ。
私は、日代君が話そうとしていること、全部受け止めるよ。
私はそう考えながら彼の手を握る力を少し強めた。