第35章 もう一度
「まさかお前に会うとはな…。」
日代君は険しい顔でそう呟く。
それに対して川島はやけに楽しそうな顔をしていた。
「久しぶりに一戦交えようじゃないか、ぇえ?俺はお前をやっつけることばっかり考えてだんだよ。」
「それはよっぽど暇だったんだな。悪いが今日は俺はあいつを連れて帰るために来たんだよ。あいにくお前と戦う予定はねぇ。」
「へぇ…。こいつは日代、お前の恋人か?」
面白いものを見つけたとでも言うかのように川島は私に近づいて顔を覗きこむ。
「おお、なかなかいい女じゃねぇか」
川島は下卑た笑みを浮かべる。私は嫌悪感を抱き、にらみ返した。
「いいや、俺のダチだよ。」
「ふうん、ダチ、ねぇ。まぁいい、お前が条件を呑めばこのかわいいお友だちは返してやろうじゃねぇか。」
川島がすっと目を細める。
何か楽しいものを見つけたかのように、そしてそれをもてあそんでやろうとでも言うかのような狂気に満ちた目。
嫌な予感しかしない。
「ほぉ、それはどういう条件だ。」
日代君も警戒しているのか、握り拳を腰の辺りに構えていて、今にでも飛びかかりそうだった。
「簡単だよ。俺と闘え。」
川島はニヤリと笑った。