第33章 告白はしたけれど
「それにしても人多いな。」
ゲームセンターに入った瞬間、日代君はポツリと呟く。
様々なゲームのBGMや効果音が重なりあって、日代君の声もなかなか聞き取りづらい
「まぁ、遊ぶにはもってこいだからねー」
いつもより大きな声でそう返事する。
「お前、何のゲームやりてぇんだ?」
「うーん、あんまりしたことなかったから日代君のお薦めを教えて欲しいかな。」
前に藍那達と冷やかし半分でゾンビゲームをしたら、かなり恐いゾンビの映像が流れてきて、少しトラウマになったことがある。
しばらくの間夢に出てこないかヒヤヒヤして、寝るのが怖かったな。
結局藍那達とは恐い恐いと叫びまくって早々にゲームオーバーしたっけ。
「俺のお薦めなぁ…。あれかな。俺もこれ以外あんましたことねぇからわかんねぇ。」
日代君の指差した先には、車の座席とハンドルのようなものの前に、道路が映し出されているモニターが置いてある。
確かカーレースみたいなやつだよね。
「難しい?」
「うーん、無茶苦茶にハンドルを回さなければ大丈夫だな。」
「それならやってみようかな…。」
私はお金を入れ、座席に座る。
日代君も同じく私の隣の座席に座った。
「俺も久々にやりたくなった。」
日代君がにっと笑う。
そしてゲームが始まったが、私は一つめのカーブを曲がり損ね、最下位いで終わってしまう。
その横で日代君は涼しい顔をして一位になっていた。
「難しかったか?」
「多分私が不器用なんだと思う…。」
マリ○カートとかもいつも失敗していたし、私はあまりゲームが得意では無いのだと思う。
でも、日代君とゲームするのはすごく楽しい。
慣れれば大丈夫だと慰めてくれる日代君を見て、私はそう考えた。