第33章 告白はしたけれど
結局私達はクレーンゲームなど、いろんなゲームをしたけれど、日代君にはかなわなかった。
「日代君、ゲームうまいね…。」
今度こそは!とかこれなら勝てるかも!と思ってゲームを挑んでも、その度に負けてしまうので、むなしい感じはしなくもない。
「まぁ、族にいた頃はみんなとゲーセンにはよく来ていたからな。」
「それは凄く目立ちそうだね…。」
「まぁ、かっこうも派手だしな。悪目立ちしていた自覚はある。でもゲーセンにはいろいろ世話んなった。」
「例えば?」
「喧嘩じゃなくて、ゲームで決着をつけようと族同士の抗争をいさめたことが何度かあったな。」
「へ、へぇ。」
喧嘩の代わりに真剣にゲームやってるのもなかなかシュールだな。
派手でいかつい族のリーダー同士がゲーム機に並んで座る光景ってそうそう拝めるものではない。
「そこまで持っていけた日代君の話術も凄い。」
「うーん、まぁ話すのは嫌いじゃねぇな。でも、緊張感は半端ねぇからあんまり俺もしたくはねぇ。ただ血を流す争いはしたくはねぇと思ってよ。かといってスポーツの試合に持ち込むのも何だか変だしよ、そしたらゲームかなってな。」
理由はやっぱり日代君らしかった。
「でもそろそろ出るか。少し頭が痛い。」
「そうだね。」
ゲームセンターから出ると、周りが静かで何だかホッとする。
やっぱりそれぐらいゲームセンターの音量って大きいんだ。
「そろそろ帰る?」
妹さんの晩御飯を用意しなきゃいけない時間だよね。
「そうだな。俺、バイクで来たんだけどよ、お前、後ろに乗るか。っていうか乗ってくれ。」
「ありがとう。」
多分向坂のことを心配しているからだろうな。
本当に私は日代君に感謝してもしきれないくらい恩がある。