第30章 帰り道
祐希side
「なぁ、日代。お前、宮原さんとなんかあったろ。」
帰る道すがら、俺が放った言葉に、日代の肩が跳ねる。
どうやら図星らしい。
「…何でそう思った?」
何やら後ろめたそうな顔をしているので、何か気まずいことがあったんだろう。
「や、だってさ、いつもより二人とも離れて歩いてたし、合流したときも口数少なかったし。」
「そうだよ。なんかお互いよそよそしかったからびっくりしたし。」
ちょっと人の機微には疎い神崎も気づいているのだから相当なものだろう。
「喧嘩でもした?」
お互い人に優しすぎで見てられない二人組が喧嘩をするイメージなんて全然わかないけれど、思いつくものがそれしかない。
「…。っとな…。」
珍しく日代は動揺しているようで、喧嘩ではないのにそんな衝撃的なことが起きるのか、と少し疑問だった。
「告白でもされた?」
からかい半分にそう言ってみる。
「…なっ!何でわかった…。」
日代は唖然としたらしく、取り繕うことさえできなかったようだ。
俺もまさか当たるとは思っていなかったので心底驚いた。
「お前、それで宮原さんになんて言ったんだよ。」