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私達は偽者シンデレラ

第30章 帰り道


別行動していたみんなと合流し、私は藍那と由梨花の三人で帰ることになった。


日代君達は特に祭りの夜道は危ないからと、みんなを送りたがっていたが、藍那と由梨花がきっぱり断っていた。


きっと私と日代君が、いつも通りの態度ではあったけれど、全くの進展が見られなかったからそれとなく結果を察したのだろう。


告白することを知っていたのは私達女子だけなのだから、彼氏がいてはききづらい。



私達は日代君達と別れて、浮かれながら歩く道行く人を見ながら歩いていた。



「今、わけあって誰とも付き合う気がないんだって。」


二人は私を心配してくれていたのだろうけど、どうやって話を切り出せばいいのかに悩んで、何も言い出せなかったようだ。私がポツリと呟くと、少し安心した表情を見せた。



「でも日代君は私のことをどう思っているのか全く言わなかったし、その事情がもし解決したら、ちょっとは希望が持てるでしょ?だから私は諦めないことにしたの。」



「日代君が何年もその事情を抱えていても?」


藍那は事情に関しては何も踏み込んでこなかった。この事には心底感謝した。


ただ私の考えていることは、藍那にはどうしても想像できないことらしい。純粋に疑問を持っているようだ。


「何年だって待って、アタックすればいいでしょ?それに、途中で諦めたら彼への想いはそこまでだったってことだし、もし仮にいいな、と思える人に出会えたらそのときはまた考え直せばいい。今は日代君のことが好きなの。何年とか想像できないけど、今持っている気持ちをむやみに捨てたくない。大事にしたいなって思って。」



そう、今までだって好きな人ができたことはある。でもフラれたらそこで諦めて次の恋を探そうとか、自暴自棄になってた。



でもふられた今でも私は落ち込むというより、頑張ろうと思う気持ちの方が大きい。


何よりどんな日代君でも愛しいと思う気持ちを簡単に捨てたくない。



だから私は彼が過去のしがらみから逃れるまで待つ。


私はふと空を見上げる。もうそこには鮮やかな花火はあがっていない。でも星がたくさん輝いている。なんだか優しい光を放っていて、私達を見守っているように見えた。





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