第26章 夏祭り
「でも待てよ。輪投げにバスケの要素あるか?」
日代君の突っ込みでそれはそうだと改めて思い返す。
「うーん、確かに神崎はすごいんだけど、確かにない気もするね。」
祐希君は腕組みをして、目をつむる。
バスケに共通点が無いか探っているようだ。
「狙いを定めて投げるっていうのは?」
「フォームが全然違うだろ。」
目を開き、閃いたように言った祐希君を日代君がすかさずつっこむ。
とりあえず、神崎君が努力家なのはわかったかな。
「まぁ、いいや。とりあえず神崎は運動神経がいいんだよ。」
「無理矢理だな。」
日代君が笑う。祐希君がボケているのを初めて見たので、新鮮だった。
そうして私達は再び歩き出す。
「それにしても久しぶりだな。」
日代君はお祭りの会場を見渡す。
「ん?何が?」
「こうやって、祭りに行くことがよ。」
「へぇー。いつぶり?」
「小学生以来だ」
「えっ⁉じゃあred crashの人たちとは行かなかったの?」
私の問いに日代君は難しい顔をする。
「祭りの時は誰もが有頂天になるだろう?そんで他の暴走族が暴れまくって、闘争とか、かつあげとかするんだ。それを止めたりとかしてたからなぁ。」
「確かに、お祭りの帰りとかたまに雰囲気怖そうな人達がたむろしてる時があるね。」
目が合ったら何かされそうだから、そそくさとその場を立ち去っていたなぁ
「そういうやつがいるからよ、祭りの時は気ぃつけろよ」
「うん。」
私達が話し込んでいると、藍那はかき氷を食べたいと騒いでいる。
「じゃあ買いに行くか。」
みんな行こうぜ、と神崎君が屋台に向かおうとする。
「ちょっと待って。」
藍那は神崎君の腕をつかんだ。