第26章 夏祭り
「おじさん!一回やらせてよ」
と神崎君はお金を払い、わっかを受けとる
そして1つ目を投げる。
輪っかは吸い込まれるように軌道を描いて見事にぬいぐるみがもらえるところに落ちた。
あまりにスマートに成功したので、私達は呆気に取られた
「他にも欲しいやつある?」
そうにっこり笑って振り向いた神崎君は確かにかっこよかった
「え、っと、あのブレスレットが欲しいかな。」
藍那の要望通り、残りの輪っかもすべて命中させ、藍那は神崎君にぬいぐるみたちを渡されたとき、とても幸せそうだった。
たぶん、ぬいぐるみを手に入れたことよりも、神崎くんが取ってくれたことがうれしいんだろうな。
ありがとう、とお礼を言う藍那と、お礼を言われて照れている神崎君がとても微笑ましい
「でもすごいねー。全部命中だったよ」
由梨花が言うと、祐希君はにやにや笑う。
「そりゃそうだよ。あいつああ見えてバスケ部のエースだよ。」
「えっ⁉」
女子三人で一緒に叫ぶ
「こいつ、チャラそうだし軽そうだけど、けっこう努力家なんだよ。たまーに俺が夜遅くに帰ろうとしていたら、体育館で一人で居残ってたりしてたの見たことあるし。」
「ちょ、お前何で声かけてくれねーんだよ。人のことこっそり覗き見とかやめろよ。」
神崎君はまさか見られているとは思っていなかったらしく、慌てている
「だって、集中してるのに悪いだろ?」
祐希君は笑いながらそう言う。
祐希君って何か食えない人だよね。