第26章 夏祭り
慌てて私は日代君の隣を歩く。
「なぁ、俺達、場違いな感じが半端ねぇと思っているの気のせいじゃねぇか?」
日代君が私の方へと少し屈みながら、耳打ちする。
「うーん、そうかもね。でもみんなで行きたいってあの人たちも言ってたんだから、私達がいてもいいんじゃない?」
顔、顔近いよ!と内心焦りつつそう返すと、日代君は少し気まずそうな顔をした。
「後で俺達はさりげなく抜けるか。みんなでっつっても、二人きりで夏祭りを楽しみたいって思ったりはするだろうしな。」
「そ、そうだね。」
日代君が気のきく人で良かった。もう少しで二人で抜けようと、私が誘わなきゃいけなかったし。
と自分が何度も噛みながら日代君にそう提案するところを想像して少し安心する。
絶対不自然になるからね。
「あのぬいぐるみかわいいね。」
私の後で藍那の声が聞こえた。立ち止まって振り返ると、藍那は目の前の輪投げの屋台をじいっと見ている。
確かにふわふわしていてかわいい。でも…
位置が高すぎて簡単にはとれなさそう。
「ちょっと頑張ってみてもいい?」
藍那はそう尋ねるわりにもうやるきで、財布を取り出している
「もちろん。頑張れ!」
私達が見守るなか、藍那は3回わっかを投げたけれど、どれも見事に外れてしまう
「うーん、残念。もう一回やろうかなぁ。でも取れる見込み、全然ないのわかっちゃったしなぁ。」
藍那は残念そうに呟いた。
「だいじょーぶ。俺に任せて。」
藍那にポンと手を乗せたのは、神崎君だった。