第26章 夏祭り
「よっ、久しぶり~。みんな元気だった?」
私達が三人のところにたどり着くと、藍那の彼氏になった、神崎君がウインクしながらそう挨拶する。
相変わらず何だかチャラそう、軽そうというイメージだ。
「瑛太!」
え、瑛太!?
藍那が神崎君に抱きつく。
神崎君はしっかりと藍那を抱き止める。
「浴衣、すげー似合ってんな。かわいい。」
神崎君が藍那にそう囁き、そのことによって藍那が真っ赤になるのを見て、なんだかこちらが恥ずかしくなった。
二人、いつの間にこんなに進展してたんだろう。名前で呼びあって、そんな甘い言葉を囁くなんて。
藍那の行動力に感心してしまう。
「お前、人前でそういうのよくやるな。そういうのは二人きりの時にやれ。こっちが恥ずかしくなってくるだろ?」
日代君も私と同じことを考えていたらしい。これって恋人持っているのと、持っていない人の違いなのかな。
「まぁ、仲良くていいんじゃない?」
そうやんわりいさめた祐希君でさえ、由梨花と手を繋いでいる。
うーん、友達が彼氏とラブラブしているのを間近で見るって変な感じ…。
「ちぇー。別にいいだろ?事実を言ってんだからさぁ。」
そう日代君に返しながら、神崎君もさりげなく藍那の手をとる。
日代君は神崎君から目線をそらす。
どうやら日代君も同級生がいちゃついているのを見るのはなかなかに恥ずかしいタイプのようだ。
「とりあえず行くぞ。」
日代君が先頭に立って歩き始めた。