第25章 彼の本音
「え、それは過去の行いを責められた、とか…」
「そんなんじゃねぇよ。なんかあの人たちは純粋に疑問だったみてぇで、サツとかセンセーに聞かれたときと全然違うかったな」
日代はなぜだか大笑いしていた。
「こういうやつらもいるんだなってなんか思えたわ。」
「で、red crashに入った理由は正直に言えたわけ?」
俺がそう言うと、日代は笑っていたのに、急に黙りこんだ
「言ってねぇ。一部だけだよ。」
「宮原さんたちに知られたら嫌なんだ?」
「別に宮原とか親父さんたちに軽蔑されることは絶対ねぇとはわかってんだけどよ。自分が耐えられねぇんだ。昔の自分のカッコ悪さによ。」
日代はいいやつだけど、少し自分を卑下するようなことがある。
そこはちょっと惜しい気もするが、人は完璧ではないので強要するわけにはいかない。
俺には日代の過去はカッコ悪くないと思えるけれど、本人からしたらやっぱり違うのかもしれない。
「まぁ、過去は過去のことだしね。どうしても変えられないことだから自分にしてみては恥ずかしいことはいっぱいあるかもしれないな」
誰にだって思い出したら恥ずかしいはいっぱいある。
自分にだって数えきれないくらいに。
日代とは小さい頃からの知り合いで、お互いのことを知り尽くしているから特に隠すことも無いけれど、日代もかっこつけたいことはあるよな。
「宮原さんにはかっこいい日代君として見てもらいたい?」
冗談めかしたように言ったけれど、日代がこの質問に答えてくれるのか、俺は少し緊張しながら返答を待った