第25章 彼の本音
「そうだな。宮原にはあんましかっこわりいとこ見せたくねぇわ。何て言うか、がっかりさせたくねぇな。申し訳ねぇ気がするから」
がっかりすると言うのはどういうことなんだろう。宮原さんが日代に期待するような発言をしたのだろうか。
「靴を拾ってくれるなんて、シンデレラって言うより王子みたいだって宮原が言うんだよな。まぁ、本人としては俺が悪いやつには見えねぇっていう表現だろうけどな。それでもやっぱりそう言ってくれた人にはかっこつけたいなぁって思うな。」
…鈍すぎだ。日代。簡単に女子が男に向かって王子って言うかよ。しかも仲良くなった男に。モテモテ王子でもない強面のやつに。
何て言えるわけもないので、俺は黙って聞くことにした。
「俺的には今の日代も昔の日代も充分かっこいいけどな。」
「お前がそう言うと何か気持ちわりいな」
日代はハハハッと笑い出す。
俺だけじゃなくて、お前を慕っていたやつら全員は、お前のことを男の中の漢だと思っていると思う。
仲間思いで、喧嘩も強い。人のために熱くなれるやつ。
宮原さんはきっと、靴を拾ってくれたから王子と言っている訳ではない。
日代に憧れているから、日代の性格を知っているから言ったんじゃないのかな。
…それにしても。今のままでは宮原さんはずっと片想いするはめになる。
だって今の日代は
恋をする気はないんだから。