君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第9章 猿野の場合
ご機嫌に戻った××の手を取る。
「帰るか。」
「うん!」
駅までの道を、繋いだ手を大きく振って歩く。
「今日はありがと!幸せな誕生日になりました!」
「いや思いっきり怒らせたと思うんだが・・・。」
「もういいよ。」
だって求めてくれたこと自体は嬉しかったし。
「え?なんつった?」
「秘密!」
すると××は辺りをキョロキョロ見渡す。
人がいないことを確認すると、突然××は俺の頬にキスしやがった。
「今日のお礼!」
えへへと笑って××は顔を真っ赤にさせながら、駅まで走って行っちまった。
「・・・でへへへへへ。」
俺はその場で原型を留めないほどに溶け切っていた。
今なら死んでもいいけど。
気まぐれでワガママなお姫様のナイトにならなければならない使命があるので。
お姫様の機嫌がよろしいとこんな幸せなことがあるらしいので。
今後はもっと紳士になろうと俺は誓った。