君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第9章 猿野の場合
日もとっぷり暮れた頃。
「そろそろ帰らないとね。」
寂しそうに××が言った。
楽しい時間ってのはあっという間に過ぎちまって、でも時間は俺にはどうしようもなくて
「最後にあれ乗るか?」
「うん!」
俺達は有終の美を飾るべく、定番の観覧車に乗り込んだ。
「夜景の観覧車なんて初めて。」
うっとりした様子で外を眺める××。
紅潮した頬、きらきら輝く長い睫毛、綺麗な曲線を描く唇。
こんなの見てムラムラしない男子高校生がこの世に存在するはずなくて。
窓に張り付く××を俺の方に引き寄せた。
「・・・猿野?」
俺の腕の中で照れる××の上目遣いで俺の何かがプッツンした。
うわあああああ!!!!無理!!!!!もう無理!!!!!
天国、いっきまーす!!!!!
××の後頭部に手を回して顔を近づけた。
「ちょ、ちょい待ち!」
「むぐっ!」
あとほんの10センチのところで、俺の唇は××の手によって阻まれた。
何だよ!キスしちゃダメなのかよ!付き合ってんだろ俺達!?
「うー!むがぁ!」
文句を言おうとしても口は××に抑えられたままで。
俺の口からはもごもごと訳分かんねえ音しか出てこなかった。