君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第6章 部活
「とりあえず・・・あいつブッコロ。」
「んもう、チームメイトにそんなこと言わないの。」
××に言われ仕方なく黙る。納得はいかないが、ここは××に免じて折れてやる。
××から差し出された氷嚢をぶつけたところに当てる。青痣がくっきりついてやがる。いてぇ。
前言撤回。あいつやっぱり許さねえ。
「あっれー?湿布どこいったのー?」
救急箱をひっくり返す勢いで、××は中を漁っている。
「いい。大丈夫だ。」
「そうはいかないよ。大事な十二支エース様の利き腕が怪我だなんて、ほっとけますかって話よ。」
××は本当に救急箱の中身をひっくり返し始めた。
「そういや湿布が切れたから先輩が買って来てくださったんだっけ。」
そんなことを言いながら、××は部室に湿布を取りに行く。
遠く離れていく背中をしばらく黙って見送った。
・・・エースなんて肩書きじゃなくて、俺自身を見て欲しいんだがな。
こっそりため息をついてもどうしようもなかった。
女と接するのがどうにも苦手なのに、ましてや好きな奴とどう接しろっつーんだ。