君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第6章 部活
「犬飼キューン!大丈夫なのー!?」
「何よあの男!犬飼キュンを傷付けるなんて!」
・・・あぁ、女が苦手になる原因がやってきた。
フェンスの向こうでは例のファンの女どもが、いつも以上にキーキー叫んでいた。
普段はフェンスから距離もあるからマシなのに、フェンス際のベンチとなっては連中とも目と鼻の距離だ。
練習の邪魔になるから静かにしてほしいのに、どうしてこうもうるせーんだか・・・。
おい・・・部員もみんな嫌そうな顔してこっち見てるじゃねーか。
「周りの迷惑になるから静かにしてくれ。」
と言おうとして振り向いて、目が合っただけで女がきゃーきゃー言うもんだから。
どうしていいか分からなくなった俺は、びくっと反応だけして体勢を元に戻してしまった。
なんで俺はこうもコイツらが苦手なんだろうか・・・。
氷嚢で腕を冷やしながら、グラウンドで練習する部員に頭を下げた。
後ろの女どもの声なんて聞こえないふりをすることに専念した。